アングラサイエンス系ニュース、記事、論文の紹介

Mad_Press

本ブログはアングラサイエンスをテーマに、日本のマスコミではなかなか報じられない薬物関連を主とした最新の研究成果やニュース、その他geekな記事等を紹介しています。これは飽くまで読者の知的好奇心の充足や、公共の利益となる知識の共有を意図してのことであり、 断じて薬物製造、乱用を含む如何なる犯罪もこれを奨励するものではありません
本ブログから得られた知識により読者が如何なる被害を被ろうとも、当方は一切の責任を負いません。
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セージ(Salvia officinalis L.)の精油の毒性と抗酸化作用
"Evaluation of toxic/protective effects of the essential oil of Salvia officinalis on freshly isolated rat hepatocytes"
Toxicology in Vitro 18 (2004) 457–465

「ラットの新鮮分離肝細胞に対するセージの精油の毒性と保護作用の評価」

2004年の論文。
抗酸化作用があると言われるセージ(ヤクヨウサルビア/Salvia officinalis L.)の精油の成分分析と、肝細胞に対する毒性/抗酸化作用の評価を行っています。精油の成分分析は、セージから直接、水蒸気蒸留によって分離した精油の他、セージ茶からペンタンを用いて分離した精油に対しても行っています。
結果は次の通り。

成分:
化合物名 精油中含有率(乾燥セージ1g中含有量)セージ茶1ml中含有量
cis(α)-thujone 17.4%(2491.4μg/g) 1.678μg/ml
α-humulene 13.3%(1305.7μg/g) 0.022μg/ml
1,80cineole 12.7%(1703.9μg/g) 0.884μg/ml
E-caryophyllene 8.5%(836.9μg/g) 0.014μg/ml
borneol 8.3%(1109.5μg/g) 0.697μg/ml
Viridiflorol 6.2%(834.0μg/g) 0.019μg/ml
α-pinene 4.1%(399.1μg/g) 0.005μg/ml
β-pinene 4.5%(437.0μg/g) 0.007μg/ml
trans(β)-thojone3.9%(518.5μg/g) 0.268μg/ml
camphor 3.3%(445.4μg/g) 0.517μg/ml
etc..

毒性:
ラット肝細胞の懸濁液(1mlあたり1*10^6個)に精油(濃度2nl/ml,20nl/ml,200nl/ml,2000nl/ml)を混入させ30分後の細胞の状態を評価(濃度は懸濁液1mlあたりの精油の量)

濃度≦200nl/ml →損傷確認できず
濃度 2000nl/ml →損傷確認(LDH漏出、GSH減少)

抗酸化作用:
ラット肝細胞の懸濁液(1mlあたり1*10^6個)に精油(濃度2nl/ml,20nl/ml,200nl/ml,2000nl/ml)と酸化剤(t-BHP 0.75mM)を混入させ30分後の細胞の状態を評価(濃度は懸濁液1mlあたりの精油の量)
(濃度は懸濁液1mlあたりの精油の量)

濃度≦2000nl/ml(2,20,200,2000) →抗酸化作用は確認できず

結論:
・セージの肝臓保護作用は精油によるものではなさそうである。
・(濃度)200nl/ml以上の精油を摂取した場合、肝臓に直接作用して毒性をもたらす可能性がある
・セージの精油には肝毒性があり、また、主成分であるthujoneやcamphorには神経毒があるため、セージ製品の大量摂取が懸念される。


以下、要旨の拙訳です。

要旨
空気乾燥させたセージ(Salvia officinalis L.)の地上部から、水蒸気蒸留によって精油を分離し、ガスクロマトグラフとガスクロマトグラフ質量分析により分析を行った。乾燥した状態での質量1gあたり、総収量12.07gの精油が得られ、50以上の化合物が同定された。主な化合物はcis-thujone (17.4%), a-humulene (13.3%), 1,8-cineole (12.7%),E-caryophyllene (8.5%) ,borneol (8.3%)であった。また、セージ茶からペンタン分配により精油画分を分離し、各化合物を同定した。セージの精油の毒性と抗酸化保護作用を、取り出したばかりの肝細胞に対して評価した。細胞生存率、脂質過酸化、グルタチオンの状態を、30分間、精油のみに曝した細胞(1mlあたり1*10^6個の細胞懸濁液。t-BHPをポジティブコントロールとして精油の毒性を評価)と、精油と酸化剤(t-BHP)に曝した細胞(quercetinをポジティブコントロールとして精油の保護作用を評価)に対して測定した。その結果、精油は200nl/ml以下の濃度では毒性はなく、2000nl/mlにおいてのみ、細胞の損傷を示す有意なLDHの漏出とGSHの減少が見られた。精油は試験を行った範囲の濃度では、t-BHPによる毒性に対する保護作用を示さなかった。
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| 薬草 | 19:29 | トラックバック:0コメント:0
カモミールとトケイソウの催眠作用
Hypnotic Activities of Chamomile and Passiflora Extracts in
Sleep-Disturbed Rats
Biol. Pharm. Bull. 28(5) 808—810 (2005)

「睡眠障害ラットにおける、カモミール抽出物とトケイソウ抽出物の催眠作用」

2005年の論文。
カモミール抽出物とトケイソウ抽出物の催眠作用について調べています。
結論として、トケイソウ抽出物には催眠作用は認められないが、カモミール抽出物はベンゾジアゼピンに類似した催眠作用をもつとしています。


以下、要旨の拙訳です。

要旨
本研究において我々は、睡眠障害モデルラットを用いて、カモミールとトケイソウの抽出物の催眠作用を調べた。入眠潜時の有意な減少が、カモミール抽出物300mg/kgの投与において認められた。一方、トケイソウの抽出物は3000mg/kgの投与においても入眠潜時に影響は認められなかった。覚醒状態、ノンレム睡眠、レム睡眠の全体の時間への影響はどちらの抽出物においても認められなかった。ベンゾジアゼピン受容体拮抗薬であるフラマゼニルは、3mg/kgの投与において、カモミール抽出物による入眠潜時の短縮に拮抗的な効果を示した。カモミール抽出物、トケイソウ抽出物、どちらにおいてもノンレム睡眠中のデルタ活動への影響は認められなかった。結論として、カモミール抽出物はベンゾジアゼピンに類似した催眠作用をもつ。
| 薬草 | 19:28 | トラックバック:0コメント:0
アブサン酒の神経毒α-ツヨンはGABA-A受容体に作用
"α-Thujone (the active component of absinthe):γ-Aminobutyric acid type A receptor modulation and metabolic detoxification"
PNAS vol. 97 no. 8 3826-3831

「α-ツヨン(アブサン酒の有効成分):γ-アミノ酪酸(GABA)-A受容体の活性調節と代謝解毒」


2000年の論文。
アブサン酒の有効成分α-ツヨンが神経毒を示す機構と、その代謝物について調べています。(一昨日紹介した論文では、ツヨンはアブサン中毒の主要な原因ではないと結論付けていますが、、、)
結論として、α-ツヨンはGABA-A受容体の活性調節因子として働き、速やかに7-ヒドロキシ-α-ツヨンを主とする代謝物に分解されるとしています。

以下は要旨の拙訳です。

要旨
α-ツヨンはアブサン酒(19世紀から20世紀初頭に人気のあった、有害な効果をもつ酒)に含まれる有毒物質である。これはまた、ニガヨモギの精油や他の薬草の活性物質で、抗侵害受容性や殺虫作用、駆虫作用があると報告されている。本研究ではα-ツヨンの神経毒性の機構を明らかにし、主要な代謝物とその毒作用における役割を解明した。4つの観察から、α-ツヨンがγ-アミノ酪酸(GABA)のタイプA受容体の活性調節因子であることが確証される。1つ目、マウスにおける中毒症状(それとジアゼパムとフェノバルビタールによる症状の緩和)が古典的な拮抗薬であるピクロトキシンの症状に似ている。2つ目、塩素イオンチャネル遮断薬に特異的に耐性をもつショウジョウバエの一種がα-ツヨンに対しても耐性をもつ。3つ目、α-ツヨンが、マウスの脳細胞膜に結合する[3H]ethynylbicycloorthobenzoateの競合的阻害薬である。最も決定的なことには、GABAによって誘発された、ラットの脊髄後根神経節細胞におけるピーク電流が、α-ツヨンにより抑制され、洗浄により完全に元に戻る。試験管内で、α-ツヨンはNADPH(cytochrome P450)の存在下でマウスの肝臓のミクロソームにより速やかに代謝され、主な代謝物の7-ヒドロキシ-α-ツヨンに加え、5つの少量の代謝物(4-ヒドロキシ-α-ツヨン、4-ヒドロキシ-β-ツヨン、他2つの水酸化ツヨン、7,8-デヒドロ-α-ツヨン)に分解される。これらの内いくつかは、α-ツヨンを腹腔内投与されたマイスの脳内においても検出された。脳内において、主要な7-ヒドロキシ代謝物はα-ツヨンよりもずっと高い濃度に達するが、マウスやショウジョウバエに対する毒性は低く、また、結合分析における効果は低い。他の検出された代謝物もまた解毒生産物である。従って、アブサン酒や薬草に含まれるα-ツヨンは、速やかに作用し容易に解毒される、GABA作動性塩素イオンチャネルの活性調節因子である。
| ドラッグ | 19:28 | トラックバック:0コメント:0
アブサン中毒の原因物質はツヨンではない?
Thujone—Cause of absinthism?
「ツヨンはアブサン中毒の原因?」

Forensic Sci Int (13 May 2005)
doi:10.1016/j.forsciint.2005.04.010

2005年5月発表の論文。
アブサン酒による精神障害の原因物質としてツヨンが疑われてきましたが、この論文では、本当にツヨンがその原因物質なのかを検証しています。
結論としては、ツヨンはアブサン酒による精神障害とはあまり関係がないと推測されるとしています。

以下は要旨の拙訳です。

要旨
19、20世紀には、ニガヨモギの蒸留酒であるアブサン酒の常習的な乱用は、幻覚や不眠、痙攣といった症状を含む精神障害”アブサン中毒”の原因とされた。ニガヨモギ―Artemisia absinthium L.の精油の特徴的な成分であるツヨンがアブサン中毒の原因なのか、それとも単に慢性アルコール中毒なのか、はたまた食品不純物といった他の理由によるものかということが論争になってきた。
ツヨンがアブサン中毒を起こしうるのかどうかを確かめるため、19世紀の歴史的な製法に従ってアブサン酒を製造した。
自家栽培のものと共に、2つのメーカーの市販のニガヨモギを用いて、6kg/100lの濃度の蒸留酒を製造した。これに加えてタラゴナ産の正真正銘の年代物のペルノー・アブサン(1930年)と、スイス、トラヴェール谷の伝統ある小さな醸造所の2種のアブサン酒を評価した。α-ツヨンとβ-ツヨンを分析するため、シクロデカノンを内標準としてGC-MS(ガスクロマトグロフ質量分析)を行った。この方法はLOD(検出限界)0.08mg/lの感度を示した。
精度は1.6%から2.3%で、0.1mg/lから40mg/lに渡って線形性が得られた。(r=1.000)
最近、アブサン酒が解禁されただけあり、ツヨンの濃度は、歴史的な製法に従って製造したアブサン酒も含めて、分析した製品は全て、最大許容値である35mg/l以下の濃度を示した。歴史的な製法に従って製造したアブサン酒は、検出可能な量のツヨンを含んでいないか、比較的低い濃度しか含んでいなかった。(平均1.3±1.6mg/l、分布範囲0-4,3mg/l)興味深いことに、年代物のアブサン酒もまた、1.8mg/lという比較的低いツヨン濃度を示した。トラヴェール谷のアブサン酒は9.4mg/lと1.7mg/lの濃度のツヨンを含んでいた。
結論として我々の研究では、19世紀に報告された260mg/lものツヨン濃度は確証することができない。歴史的な製品のツヨン濃度もまた、今日の、幻覚などの効果を引き起こさない最大許容範囲内であることから、これらのツヨン濃度では年代物のアブサン酒が幻覚を引き起こす可能性はかなり低いと評価される。おそらくツヨンは、アブサン中毒の臨床像において何の役割も担ってないか、またはわずかな役割しか担っていないと思われる。
| ドラッグ | 19:27 | トラックバック:0コメント:0
大麻とMDMAの組み合わせで作業記憶により大きな障害
"Co-administration of THC and MDMA (‘Ecstasy’) Synergistically Disrupts Memory in Rats"
(「ラットにおいてTHCとMDMAの同時投与が相乗的に記憶を阻害」)

2005年発表の論文。
ラットにTHC(大麻の麻薬成分)とMDMAを同時投与したところ、単独投与の場合よりも作業記憶への障害が強く現れたとのことです。
この障害が一時的なものか永続的なものかは分からないとのこと。




要旨拙訳
3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン (MDMA,'Ecstasy’)と大麻は西洋社会で最も一般的に使用されている違法薬物の内の2つであり、たびたび組み合わせて使用される。組み合わせた場合の認知能力や行動への影響はほとんど調べられていない。本研究では二重Y字型迷路を試験課題として用い、一般的な人の使用量の元で、MDMAとΔ-テトラヒドロカンナビノール(THC,大麻の主要な精神活性物質)の、ラットの記憶能力への急性影響を調べた。
実験1(低量投与)ではTHC 0.25mg/kgとMDMA 1.25mg/kgの、単独投与と同時投与の影響を調べた。この量ではMDMA,THC共に単独投与での作業記憶への影響はなかったが、同時投与では有意に作業記憶を阻害した。
実験2(中量投与)ではTHC 0.5mg/kg、MDMA 2.5mg/kgの、単独投与と同時投与の影響を調べた。この投与量ではMDMAの単独投与では影響はなかったが、THCの単独投与では作業記憶が障害を受けた。また、MDMAの単独投与での影響はなかったものの、THCとの同時投与ではTHCによる障害を悪化させた。
実験3(大量投与)ではTHC 1mg/kg、MDMA 5mg/kgの単独投与と同時投与の影響を調べた。MDMAの単独投与による障害はTHCの単独投与によるものより少なかったものの、どちらも単独投与で有意な作業記憶の障害をもたらした。この投与量での同時投与は行動に大きな支障をもたらした。このためY字型迷路での成績の低さを記憶要因に帰することができなかった。
総合すると、これらの実験はTHCとMDMAの同時急性投与によって引き起こされた、相乗的な作業記憶の障害をを示した。
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赤ワインからGHBが検出される
"The presence of gamma-hydroxybutyric acid (GHB) and gamma-butyrolactone (GBL) in alcoholic and non-alcoholic beverages"
Forensic Science International 151 (2005) 289–292

(「アルコール飲料、ノンアルコール飲料中のγ-ヒドロキシ酪酸(GHB)とγ-ブチルラクトン(GBL)の存在」)

2005年5月発表(オンライン)の論文です。erowidにて全文の閲覧が可能です。

GHBと言えば、依存性がほとんど無く比較的安全といわれていた即効性の睡眠薬で、個人輸入できる、簡単に自作できるということで、服用していた方も少なくなかったようです。
しかしこれを大量服用して少女が自殺したり、またこれを悪用したレイプ事件が頻発したために、数年前に突然なぜか麻薬指定されまして、現在では
法的にはコカインやモルヒネ等と同じく立派な「麻薬」扱いとなってしまっています。せいぜい、向精神薬扱いが妥当なところだと思うのですが、、、

最近、ダウナー系のサプリとしてGABAと呼ばれるアミノ酸が注目されているようですが、体内に取り込まれたGHBは血液脳関門を通って脳内に入り、このGABAに変化します。
そしてこのGABAが脳内のGABA受容体に結合することでダウナーな効果を発現させます。(GHBのままGABA受容体に結合するという研究者もいるようです)
ちなみにGABAは血液脳関門を通れないので、GABAを普通に摂取しても脳内にはほとんど入らず、GHBのような効果は現れません。

さて、本題の論文の内容についてですが、簡単に要約すると
ジュースや酒を片っ端から調べていったらワイン、特に赤ワインに、GHBとGBLが入ってたよ。
というものです。
GBLというのはGHBに類似した構造をもった有機溶媒で、GHBの原料にもなり、GHBよりも体への負担が大きいものの、GBL自身もGHBに類似した薬理効果を持ちます。
そのため、GHBが規制された今、GHBの代用薬としてGBLを服用する者もいるようです。GBLは今のところは麻薬でもなんでもありませんが、
某委員会で某議員がGBLの規制の必要性を訴えていたので、その動きはあるようです。

閑話休題
ただ、赤ワインにGHB/GBLが入っているといってもその含有量は多くて20mg/L程度だということです。GHB/GBLの服用量は通常1g前後ですから、通常のワインの飲用量ではGHBとしての効果はほぼないといってよいでしょう。
あっても、GHB/GBLの効果というのはアルコールの効果に似ているので気が付かないでしょう。

以下にこの論文の要旨の拙訳を載せておきます。

要旨拙訳

GHBやGBLはたびたび、密かに薬を飲ませる場面で用いられる。特に飲み物に入れて用いられる。(いわゆるspiked drink)
実際の飲料の解析が必要な事件の解明に役立てるため、英国内で購入した50種類の飲料に対して、GHBとGBLの存在を調べた。
その結果、白ブドウや特に赤ブドウの発酵飲料から自然発生的なGHB,GBLが検出された。
その他の、ビール、ジュース、スピリッツ、リキュールなどからはGHBもGBLも検出されなかった。
GHB/GBLは赤ワインのヴェルモット(8.2mg/L)、シェリー酒(9.7mg/L)、ポートワイン(GBL)、赤ワイン(4.1-21.4mg/L)、
白ワイン(<3-9.6mg/L)から検出された。GHB/GBLの有無は飲料のアルコール含有量やpHには関係しているようには見えない。
また、その濃度はブドウの地理的な起源と関係しているようには見えない。
これは飲料中の自然発生的なGHB/GBLについての最初に公表された論文であろう。
| ドラッグ | 19:23 | トラックバック:0コメント:0
下水でドラッグ検査
"Sewage study spots cocaine users"
(「下水調査でコカイン使用者が明らかに」)
news@nature.com

イタリアでコカイン使用の実態を調べるため、川の水や下水を検体として薬物検査したお話。
その結果、イタリア最大のPo川周辺に住む500万人の人々は毎日4kg(約10万回分)のコカインを使用していると見積もられたそうです。
上の記事のネタ元の論文は↓
"Cocaine in surface waters: a new evidence-based tool to monitor community drug abuse"
Environmental Health: A Global Access Science Source 2005, 4:14 doi:10.1186/1476-069X-4-14

河川の水を検体とした場合、薬物使用の痕跡が見つかっても使用者は特定不能ですが、
集合住宅等の下水の場合、かなり絞られるので麻取の捜査法として有効そうですね。
(もうやってるのか?)

最近、健康管理のための自動尿検査機能付きの便器が発売されたそうですが、
会社や公共の便所にこういった便器が設置され始めると、ジャンキーのみなさんは
おちおち外で便所にも行けなくなりますね。
健康診断で行われるような通常の尿検査では薬物使用は分からないそうですが、、、

news@nature.comの記事の拙訳を以下に載せて起きます。

<コカインの使用が下水調査で明らかに>

~イタリアの下水中の化学物質が、薬物使用が過少に報告されていることを示唆~

下水中の薬物の調査より、コカインの使用規模はアンケートから求められた規模よりも
かなり大きいことが示唆されている。

ミラノにあるマリオネグリ薬理学研究所のエットーレ・ズッカートと彼の同僚は、イタリアの
4つの中規模都市の川や下水からサンプルを採取した。そしてコカインと、
尿中で検出されるbezoylecgonineと呼ばれるコカインの主な代謝物を検査した。

この結果より、全水量を用いて、一日に水道を流れるドラッグの総量を見積もった。

これより、イタリアの最大の川であるPo川付近に住む五百万人の人々は一日4kgの
コカインを消費していることが示された。
この量は少なくとも四万日分、約二十万ラインのコカインに相当する。
この研究結果はEnvironmental Healthで報告されている。

ズッカートは「我々が予想していたよりも多い」と話す。

□大量使用

これに対してイタリア厚生省による2001年の調査では、この川の付近に住む約150万人
の若い成人は一ヶ月に少なくとも15000回の使用を行っていることが示されている。
この調査では、全体の1.1%である15-34歳の人々は調査の前月に少なくとも一回、
コカインを使用したことを認めている。しかし研究者たちは彼らの薬物使用についての
より正確な詳細については分からない。

ズッカートの下水調査はこの調査結果にデータを付け足すのに役立つ。
このような方法で地域住民の薬物乱用が調べられたのは初めてだ、とズッカートは話す。
しかし、薬学において同様の方法が使われたことがある、と彼は付け加えた。
2000年にズッカートのチームは川や下水において抗生物質の量を測定した。
「その量は予想した程度か、少ない程度だった」とズッカートは話す。

彼ら研究者たちは、中には合法の鎮痛薬と区別がつきにくいものもあるだろうが、下水中
の他の違法薬物を調査する予定をしている。
「ヘロインとモルヒネは代謝物が似ているから区別が難しいだろう」とズッカートは話す。

マリファナといった他の薬物は川や下水中で簡単に検出できるような安定な代謝物を出さない。
| ドラッグ | 19:21 | トラックバック:0コメント:9
エクスタシーがパーキンソン病の症状を緩和
"Ecstasy eases Parkinson's in mice"
(「エクスタシーがマウスのパーキンソン病の症状を緩和させる」)
news@nature.com

パーキンソン病の症状を示すように遺伝子操作されたマウスに、幻覚&アッパー系ドラッグ
として有名なMDMA(通称エクスタシー)を投与したところ、症状(不随意運動)が緩和された
というお話。
パーキンソン病の治療薬として有名なレボドパ(ドーパミンの前駆体)との同時投与による
相乗効果も認められたそうです。

~拙訳~

「エクスタシーがマウスにおいてパーキンソン病の症状を和らげる」
~クラブドラッグが症状を緩和、他の治療薬の効果を増強~

ドラッグ”エクスタシー”がマウスにおいてパーキンソン病の症状を緩和させることを
研究者のチームが発見した。

この研究者たちは人への効果は調べておらず、また自ら治療を行うことも勧めてはいない。
「私たちはパーキンソン病患者が皆、覚せい剤を買おうと街角に立つのがよいと思われたくはない」
とノースキャロライナ、ダラムにあるデューク大学の細胞生物学者でチームリーダーのマーク・キャロンは語る。

それでも、このチームは彼らの発見がパーキンソン病 ― 体の動きをコントロールする能力を失う衰弱性機能障害 ― の
新しい治療法を示しているかもしれないと期待している。

キャロンのチームは、遺伝子操作され脳内物質ドーパミンが欠乏しているマウスを調べた。
ドーパミンのレベルが低い人がそうであるように、これらのマウスは震えやぎこちない動きといったパーキンソン病
に似た症状を示した。

研究チームは次に、これらの症状を緩和する薬物をみつけるためにマウスに化学物質を投与した。
最も高い効果を示したのはメチレンジオキシアンフェタミン(MDMA)―エクスタシーという名でよりよく知られて
いる覚せい剤の一種―であった。

しかしMDMAはドーパミンのレベルを上げないため、ドーパミン系以外の未知の機構を通して動きを回復させていることが
窺がわれる。

□ 併用でより高い効果
研究チームはまた、MDMAと、現在のパーキンソン病治療薬であるL-DOPA―ドーパミンの構成要素―との組み合わせは、
それぞれを単独で用いるよりも効果が高いことを発見した。

キャロンは、これは低濃度のアンフェタミンまたはその類似化合物がL-DOPAの付加物として用いられることを示し
ているのかもしれないと語る。この研究はPloS Biology[1]で報告されている。

キャロンはMDMAと同様の作用をする薬物を探索することを計画している。彼はパーキンソン病患者にMDMAを投与する
ことは勧めていないが、それと同様の効果を示す他の薬物を見つけ出すことに望みを抱いている。
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